呼吸不全で障害年金を申請する際のポイント
1 呼吸不全で障害年金を申請する際のポイント
呼吸不全で障害年金を申請する際のポイントは、動脈血ガス分析値の動脈血O₂分圧の数値と動脈CO₂分圧の数値です。
2 動脈血ガス分析値
障害年金の等級に該当する障害の程度を規定する厚生労働省の通知である認定要領では、呼吸不全について、「原因のいかんを問わず、動脈血ガス分析値、特に動脈血O₂分圧と動脈血CO₂分圧が異常で、そのために生体が正常な機能を営み得なくなった状態をいう」と規定されています。
そのため、動脈血ガス分析値の動脈血O₂分圧、動脈血CO₂分圧の数値、特に動脈血O₂分圧の数値が重視されます。
動脈血ガス分析とは、細い注射針を使って、橈骨動脈、大腿動脈、上腕動脈などから動脈血を採取し、血液ガス自動分析装置にかけて分析するものです。
医学的には、動脈ケッチュウのO₂分圧が60mmHg以下あるいはCO₂分圧が45mmHgを超える状態を呼吸不全というとされているようですが、障害年金の認定要領では、動脈血O₂分圧が70~61mmHgの場合が軽度異常、60~56mmHgの場合が中等度異常、55mmHg以下が高度異常、動脈血CO₂分圧については、46~50mmHgの場合が軽度異常、51~59mmHgの場合が中等度異常、60mmHg以上が高度異常とされています。
労働や日常生活に及ぼしている影響の程度にもよりますが、軽度異常の場合が3級、中等度異常の場合が2級、高度異常の場合が1級に対応します。
なお、常時の在宅酸素療法を施行中のもので、かつ、軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは3級に該当するとされているので、酸素吸入により動脈血ガス分析値が異常値とならない場合でも、常時在宅酸素療法を試行中の場合には、3級に該当することになります。
3 呼吸不全における障害年金の認定
呼吸不全の障害年金の認定においては、この動脈血ガス分析値に加えて、予測肺活量1秒率(肺いっぱいに空気を吸い込んでいっきに吐き出すときの最初の1秒間の空気量の計測値を肺活量で割った値)も考慮されますが、検査結果の内容は動脈血ガス分析値が優先されるとされています。
そして、このような検査結果と、「呼吸不全が日常生活に与える影響」「発病前と同じように振舞えているか」「肉体労働にのみ制限を受けているか」「軽い労働もできないか」「自力で屋外への外出が不可能になっているか」「活動がベッド周辺に限られているような状態になっているか」から、障害年金の等級に該当するかどうかや、該当する場合にはその等級が何級になるのかが判断されます。